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 ←第21話 東チームVS西チーム →2017/02 読んだ本まとめ
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掌編・短編小説

[4分で読める] チャット・ログ [短編小説]

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 コツコツコツコツ……。

 コツコツコツコツ……。

 コツコツコツコツ……。



ワトソン:

 諸君らも知っての通り、我々は非常な事態に直面している。一刻も早い事件の解決が望まれているのだ。幸いというべきか、我々に警察たちの捜査の手はまだおよんでいない。しかし、わたしは早々にこの件に決着をつけたいと思っている。諸君らにはぜひ、協力を願いたい。

 ついては、まず、諸君らの目の前にあるものに注目してもらいたい。おそらく一瞬でその意図は察してもらえるだろう。我々は長い間、互いに不干渉の立場を守ってきた。しかし、今回ばかりはそうはいかないのだ。



竜崎:

 こうやって話すのは初めてっすね。俺、竜崎です。意図については了解っす。



きしめん:

 初めまして、でいいのかな。きしめんです。私も大丈夫です。



ワトソン:

 素早い応対に感謝する。あと一人いるはずだが、あとからでもこの会話は閲覧可能だ。さきに事件について我々が知る限りの情報を共有しておこう。



竜崎:

 うっす。



きしめん:

 わかりました。



ワトソン:

 事件は昨夜の0時前後に発生した。被害者は20代後半の男性。現場はどこかのマンションの一室。死因はおそらく、小型のナイフで胸を刺されたことによる、と思う。専門家ではないので、細かいところは勘弁してほしい。凶器となったであろうそのナイフはわたしの手にあったが、これはその場に捨ててきた。このことはいずれ警察にバレるだろう。

 ちなみに、わたしはこの被害者との面識はない。また、犯行現場が被害者の住居であるかどうか、判断ができない。

 慌てたわたしは、すぐさま警察に連絡を入れようとしたが、残念ながら、ここで何かに蹴躓いてしまい、頭を強く打ってしまったらしい。そのまま意識が途絶えてしまった。

 諸君らには、被害者についての情報および被害者との関係、またその後の経緯について説明してもらいたい。



きしめん:

 私は、被害者と面識があります。彼の名前は横山慶介(よこやまけいすけ)、職業はフリーターです。私の友人でした。
 
 私が事件を知ったのは、ワトソンさんが電話をかけようとしたその直後です。何が起こったのかを瞬時に悟った私は、とっさにその場から逃げ出してしまいました。無我夢中で走り、気が付けば、家の近くにまで来ていました。
 
 夜も更けていたため、付近の人には目撃されていない、と思います、多分。それから、家に入ろうとして……、あれ、どうしたんでしたっけ。



竜崎:

 うわ、殺されたの、あいつかよ……。

 ガイシャについては俺も知ってる。大学の時、テニスサークルで一緒だった。

 事件後についてだが、俺は、家に帰った後、急いで血の付いた上着やら何やらを脱ぎ捨てた。気持ち悪かったからな。手袋にもいっぱい血がついてたんだぜ? 死体を見ずに済んでよかったわ、まじで。俺、気が弱えから、夜眠れなくなりそうだもんな。

 んで、あらかたショーコになりそうなもんを処分した後は、ぐったりしてよお。すぐに寝ちまったよ。

 ……あれ、俺って結構、神経図太くね?



りんく:

 初めまして。りんくです。遅れてすみません。

 あなたがたの会話を読み、状況は把握できました。このまま流れに乗らせていただきます。
 
 と、言いましても、私には事件に関する知識はほぼありません。ただ、被害者の横山さんについては、私の知り合いでもありました。バイト先で先輩後輩の関係でしたから。彼のマンションにもお邪魔したことはあります。もっと詳しい事情をお話しすることは可能ですが、今その必要はありますでしょうか。



ワトソン:

 りんくさん、初めまして。よくわからない状況で、色々と察していただき感謝を申し上げる。どうやら、被害者との詳しい関係については、もうここで検討する必要はなくなったようだ。

 これまでの我々の会話の記録から犯人が誰なのか判明した。



りんく:

 犯人って、横山さんを殺した人のことですよね。



きしめん:

 え、どうやって特定したんですか?



竜崎:

 俺も知りたいっす。



ワトソン:

 わたしは、事件当夜、気づいた時には倒れた被害者の前で右手にナイフを握っていた。もしや犯人に計られたかと思ったが、すぐに違うと思い直した。このことは犯人にとっては誤算だったのだな。諸君らもこの会話記録を見れば、誰が犯人であるか一目瞭然だろう。



竜崎:

 なるほどっす。



りんく:

 確かに。



ワトソン:

 というわけで、これから警察に行こうと思う。異存はないね?



 部屋に響いていた、コツコツという音が鳴りやんだ。

 彼女は4Bの鉛筆を机のわきにおき、右手についた鉛筆汚れをじっと見つめた。それからやはりところどころ文字が汚く伸びてしまっている目の前の数枚の原稿用紙を携え、十分な身支度もせず、足早に部屋を出て行ったのであった。
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