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掌編・短編小説

[3分で読める] アキレスには勝てない [掌編小説]

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「つまりさ、こういうことだよ。朝7時に起きる予定だったとするだろ? だけど、6時に目が覚めてしまった。どうするか。もちろん、二度寝するよね。あの眠りに落ちる瞬間の気持ちよさはなにものにも替え難いものがあるからね。だけど、その気持ち良さが1回で終わってしまうのはなんだか残念だ。

 そこで、僕はこう考えたんだ。なんとかして二度寝を繰り返すことはできないか、と。

 たとえば、6時に寝なおして、6時半に起き、また寝なおすことができれば、正味2回二度寝をすることができる。『2回二度寝』という表現がおかしければ、二度寝、三度寝と言い直そう。つまり6時に目が覚めてから7時に完全に起きてしまう間に2回も眠りに落ちることができるんだ。

 では、この二度寝の回数、もっと増やせないだろうか。たとえば、再び眠りに落ちてから目を覚ますまでの間隔を短くしたら、どうだろう。間隔を20分とすれば、3回。10分とすれば、6回という感じにね。

 しかしね、僕は、もっとすごい方法を考えたんだ。今言った方法だと、二度寝できる回数は

 60分 / [ 眠りの間隔(分) ]

 で計算できる。これは、言うまでもなく、有限の値だ。でも僕が思いついた方法によれば、なんと、無限に二度寝を楽しむことができるんだ。

 いいかい。7時に完全に起き上がるとすると、6時の時点では1時間の猶予があることになる。まずは、このうちの半分の時間、30分を寝てしまうんだ。これで、二度寝カウントは1となる。

 続いて、6時30分に起きたら、残りの30分の時間の半分、15分を眠りに使う。これで、二度寝カウントは2。さらに、6時45分に起きたら、残りの15分の時間の半分、7分30秒を次の眠りに使う。これで、二度寝カウントは3だ。

 だんだんわかってきただろう。このように、常に残りの時間の半分を眠りに費やすことによって、二度寝カウントを稼ごうという作戦だ。そしてこの作戦の括目すべきポイントは、どんなに二度寝を繰り返しても、永遠に7時には到達しない、ということなんだ。

 1/2 + 1/4 + 1/8 + 1/16 ……

 といくら足していっても1にはならないのと同じ理屈さ。つまり、このやり方に則れば、永遠に二度寝を繰り返すことができるってわけだ」

 長々と話し続けて疲れてしまった僕は、ふーっとため息をついた。息が、うまく吸えていない気がする。手が、足が、全身がブルブルと震えている。冷や汗もダラダラと流れ続けて気持ち悪い。我ながら、ここまでよく持ちこたえたと思う。

 「……ふーん。で、言い残したいことはそれだけ?」

 「き、君も朝弱いだろ? ほら、どうだい、この方法、実践してみたくない?」

 「……もっとしゃべってもいいのよ。その分だけ、時間稼ぎができるんだから。……刑の執行までの、ね」

 「あ、あの、」

 「……ん?」

 ああ、なんて美しく恐ろしい笑顔だろう? 畏敬の念すら抱いてしまう。



 「……寝坊して遅れました! ごめんなさいいいい!」



 土下座した僕の脳天に、彼女のハイヒールが突き刺さった。

 アキレスには決して勝つことができない、そう悟った僕は無事に天に召されることとなった。
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