スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←第20話 東の魔法少女 →水は1気圧下、0℃から100℃まで液体のはずなのに、空気中に気体として存在するのはおかしいのではないか!
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


  • 【第20話 東の魔法少女】へ
  • 【水は1気圧下、0℃から100℃まで液体のはずなのに、空気中に気体として存在するのはおかしいのではないか!】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

倉庫(掌編・短編小説)

[3分で読める] 無口な男子の暗号文 [掌編小説]

 ←第20話 東の魔法少女 →水は1気圧下、0℃から100℃まで液体のはずなのに、空気中に気体として存在するのはおかしいのではないか!
 ある日の放課後のことである。クラスの男子がハンカチを返してくれた。

「ん」

 声にはならない音とともに、こちらに右手を差し出してくる。何か気に入らないのだろうか、顔はそっぽを向いたままである。

 挨拶もなしか、このヤロー、と思わなくはなかったが、私は素直に受け取っておいた。



 彼は、無口で滅多に感情を出さない。

 前髪がメガネにかかっており、なんとなく暗い雰囲気。

 友人関係もそれほど広くはないと思う。帰宅部で、授業が終わるとすぐに家に帰ってしまう。休み時間は一人で過ごしていることが多い。自分の机でパソコン関係の本を読んでいる。私にはよくわからないが、彼はソッチ系の技術に詳しいらしい。

 無口とは言っても、別に喋れないわけではない。実際、国語や英語の授業で指名された時なんかは、スラスラと教科書を朗読していた。

 そして、彼は運動が苦手であった。



 おととい、体育でマラソンの練習があった。

 彼は、そこで転んだ。保健委員である私の目の前で。

「大丈夫?」

 私の問いかけに、彼は軽く頷いた。

 見たところ、ひざを擦りむいたようだ。私は怪我した足を水で洗うように指示した。彼は素直に従った。ハンカチは持っていなかったようなので、私が貸した。

 その後、すぐさま保健室へと連れて行った。



 彼が私に返してくれたハンカチは、このときのものである。

 洗濯され、アイロンがかけられているのを確認した私は、ポケットにしまおうとして気づいた。

 おや、紙のような感触。

 ハンカチに何やらメモが挟まっているようだ。さっそく開いてみた。

「……なに、これ」

 それには次のように記されていた。



 "[左人・右上][右人・左][左小・ホーム][右人・左下][右中・ホーム] - [右人・左上][右薬・上][右人・上]"



「ひだりひと、みぎうえ、みぎひと、ひだり……」

 ふむ。これはもしや、暗号というやつか。



 ところで、私も休み時間を一人で過ごすことが多い。彼と同じように、自分の席で本を読んでいる。推理小説が好きだ。

 きっと、彼はそれを見ていたのだろう。

 なんとなく、顔が熱くなった。



 それはともかく、これは彼が作った暗号文に違いない。さて、これが意味するところは何だろう。うーむ。

 しばし考えた後、ピンと来た。

 なるほどなるほど。ふむふむ、わかったかもしれない。

 私は家に帰ると、自分の考えを確かめるべく行動を開始した。



 思った通りだった。

「"THANK YOU" か……」

 思わず笑みが溢れてしまった。それならそうと、口で直接言えばいいのに。

 なんて面倒臭い奴なんだろう!



 なにはともあれ、お返事を書かねば!

 今改めて考えてみると、お返事を書く必然性は全くなかったように思う。しかし、謎を解いたあのときの私は少々ハイになっていたのである。



 翌日、私も彼に倣い「ん」という音とともに暗号が書かれたメモを渡した。

 さすが発案者である。じっとメモを見つめていたかと思うと、すぐにそれを畳んでしまった。もう読み解いてしまったらしい。

 顔を上げた彼は、何やら微妙な表情をしながらゆっくりと口を開いた。



 私のお返事というのは次のような暗号だった。今見直すとちょっぴり恥ずかしい。

 でも、後悔はしていないのである。



 "[右中・上] - [左薬・上][左小・ホーム][右人・左下][右人・左下][左小・ホーム] - [左人・右上][左小・ホーム][右薬・ホーム][右中・ホーム] - [左薬・上][右中・上][左人・右上][右人・左] - [右人・左上][右薬・上][右人・上]"
関連記事
スポンサーサイト


  • 【第20話 東の魔法少女】へ
  • 【水は1気圧下、0℃から100℃まで液体のはずなのに、空気中に気体として存在するのはおかしいのではないか!】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【第20話 東の魔法少女】へ
  • 【水は1気圧下、0℃から100℃まで液体のはずなのに、空気中に気体として存在するのはおかしいのではないか!】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。