[長編] 魔法少女は誰かを愛しちゃダメなんですか

第20話 東の魔法少女

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 そのバス停は、駅前にあった。この町の魔法少女たちとの待ち合わせもここである。

「まだ、着いてないみたい。少し早かったかな」

 時計を見ながら、ミミがつぶやいた。

 メイ、シズ、アイはベンチに向かっていた。座って待つようだ。

「あの、こちらの魔法少女って、複数なんですか、さっき魔法少女『たち』って」

 マリがミミに問いかける。

「ん?そうだよ。それも特別な、ね」

「特別……?」

 マリが首を傾げていると、やがて3人の少女がやって来るのが見えた。



「や、イル&ルイ」

 ミミが手を挙げる。メイ達も集まってきた。

 少女のうち、2人が反応した。彼女らは、見た目がそっくりであった。背丈や体格はもちろん、顔や髪型も一緒。来ている服までおそろいである。ワンポイントに星マークが付いている。

 ピンク色の服を着ているほうの少女が言った。

「あ、またイルが先!」

 水色の服を着ているもう片方の少女も反応した。

「仕方ないでしょ、私の方がお姉さんなんだから」

「えーと」

 マリは少々困り顔である。

「そちらのピンク色の服を着ている方がルイさんで、水色がイルさん?」

「多分……」

 ミミが曖昧に頷く。

「あ、また見分けがつかなくなってる!」

「長いこと知り合いなのに、なんて薄情なの!」

 2人の攻勢にミミも劣勢のようである。

「ご、ごめん。いや、わかることはわかったんだけど、自信がなかった、っていうか……。そ、そうだ。メイたちを紹介しないとね」

 慌てたように、話題を逸らした。



 この2人の少女は、双子の魔法少女である。姉妹(しかも双子)の魔法少女は、ミミの知る限り東では唯一だ。ともに中学2年生で、バドミントン部に所属しているという。

「あのねあのね、私この前ランキング戦で1位だったんだよ」

 ルイが話し始めた。

「たまたまよ、すぐに勝ち越してやるから」

 イルがまたルイに反応する。

「あー、うん。わかったわかった」

 ミミが取りなす。この2人、放っておくといつまでも会話を続ける癖があるのだ。

「そんなことより、マリちゃんって同学年なんだね」

 イルである。

「私たちと一緒ね、西の魔法少女なんでしょ?よろしく〜」

 ルイである。

「よ、よろしく」

 普段はおしゃべり好きのマリであるが、この2人には圧倒されているようだ。

「ねえねえ、その髪って地毛?」

「色抜いたの?」

「それで!」

 ミミが少し大きな声で双子の会話を遮る。

「それで、こちらの方は……?」

 ミミが、もう1人の少女の方を向いた。

「「ライだよ!私たちの友達で、魔法少女!」」

 双子の声がハモった。

「あははっ。やっぱりイル&ルイと一緒にいると、面白いね」

 ライと呼ばれた少女が笑い出した。



 ライは、イル&ルイと同じように、メイたちの町の隣の町に住んでいる魔法少女だった。これまで面識はなかったのだが、何でも1年前に西からこちらに引っ越してきたばかりだという。高1である。

「あ、じゃあ私やメイと同学年だね」

「君らも魔法少女なんだ。これからよろしく」

「よろしくね」

「よろしく」

 ミミとメイがライと握手を交わした。

「それから、君らが西の魔法少女、と」

 マリ、シズ、アイもライとよろしくの挨拶を交わし、手を握っていた。



「よし、じゃあ、早速だけど、本題に入らせてもらうね。本当はイル&ルイに頼もうと思ってたんだけど、せっかくライも来てくれたから、お願いできそうならお願いするかも」

「よしきた!」

 なぜかライはテンションがやたら高い。

 …………
 ……

「へえ、西がそんな状況になってるとはねえ。私がいたときから、大分危険度が上がってるみたいだね」

 ミミの話を聞いて、ライが感慨深げに頷いている。

「西って怖いのね」

「あら、怖がってるの、お・ね・え・さ・ん?」

「そんなわけないでしょ!」

「あーはいはい」

 ミミが双子の間に割って入った。

「それで、どうかな。私たちの町の警護、お願いできるかな……?」

 イル&ルイ、ライは即答した。

「「もちろんだよ!」」

「OK!」

 それを聞いて、ミミとメイがお礼をする。

「ありがとう、本当に」

「ありがとう」

「ありがとうございます!」

 マリも頭を下げていた。



「一応、これが私たちの町の魔力感知を知らせてくれるケータイね」

 ミミがイルに手渡した。

「ここに連絡が来たら注意ってことね」

「うん。私も自分の町には残るつもりだし、魔物が出れば急いで行くつもりだけど、対処できるかどうか不安だからさ。用心のために」

「わかったわ」

 イルが頷く。

「手伝いが要りそうだったら、連絡するから。その機械は一つしかないから、ちょっと手間だけど、ライの方には携帯で双子のどちらかか、私が連絡するから」

「OK、ボス!」

「ボスじゃないんだけど……」



「わざわざ出てきてもらったけど、要件は以上。ほんと、ありがとね」

 ミミが再度お礼を言う。

「じゃ、私たちはこれで……」

 とミミが帰るそぶりを見せはじめたとき、

「勝負しましょう!」

 元気なアイの声がその場に響いた。
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