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倉庫(掌編・短編小説)

[2分で読める] 傷を癒す人形 [掌編小説]

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 「彼女」は、古びた民家に飾ってあった。持ち主は一人の老婆。
 鄙びた地方のド田舎にも関わらず、遠方からの来客は絶えない。

 始まりは何だったろうか。老婆の記憶は曖昧だった。
 その噂が広まるのは、あっという間の出来事であった。ド田舎とはいえ、情報通信技術が十二分に発達した社会である。その真相を確かめるべく、あるいは、その噂にすがるべく、外傷を負った「患者」たちが続々押し寄せてくるようになった。

「ありがとうございます」
 若い男性の声が聞こえる。老婆はゆっくりと椅子に座ったままお辞儀をした。
 この部屋に入る際には、松葉杖をついていた。今はそれを脇に抱えている。

 曰く、人の傷を癒す人形が存在する。
 曰く、触れればたちまち傷は消える。
 曰く、消えた傷は人形の体に現れる。

 もうこれまでどれくらいの数の傷を癒してきただろうか。
 「彼女」は、無残な姿をしていた。
 露出している顔、手、足などは見るに堪えない。
 普段着物に隠れている部分も痛ましいことになっているだろう。

 それでも、「彼女」の微笑みは絶えなかった。

 しかしながら、いや、当然ながらというべきか、限界はやってきた。

 ある「患者」が触れた途端、「彼女」は二つに割れることとなった。
 胸元に亀裂が走り、上下に真っ二つ。

 「彼女」の癒しは失われた。

 * * *

 記者がやってきたのは、「彼女」が事切れた一週間後のことであった。
 老婆の住む「人形の家」を訪ねるも、人の気配がしない。
 庭に回った記者は、ガラス越しにソレを目にした。
 椅子の上で口を開いたまま微動だにしないミイラの姿を。

 老婆はかろうじて生きていた。ろくに食べ物も喉を通らなかった様子である。
 記者はすぐさま救急車を呼んだ。

「あの娘は……、自殺……したのさ……」
 体力の回復を待って改めて尋ねたところ、真っ先に返ってきたのはこの言葉だった。

 自殺……?
 人形が自殺しただと……?
 記者は訝しみ、最後の「患者」の傷の箇所を聞いた。
 答えは驚くべきものだった。

 その「患者」には、外傷はなかったという。

 いや、それはおかしい。
 とりわけ最後の「患者」は胸の辺りに大きな怪我でも負っていたのだろうと、記者は予測していたのだ。

 もたらされた多大なる無数の傷によって、かの人形は壊れてしまったのではないのか?
 外傷が原因でないならば、どうして人形は瓦解したのだ?

 そして、ハタと気付いた。
 老婆の「自殺」という言葉、外傷のない患者……。

 * * *

 記者は老婆を説得し、人形を厚く供養することにした。

 数多の人々の<心の傷>を負ってしまい、耐えきれず、挙句の果てには自らを破壊してしまった、かの人形を。
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