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[長編] 魔法少女は誰かを愛しちゃダメなんですか

第17話 死んだ魚のような

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 翌日の火曜日からは、特に異常はなく、平穏な日々が続いた。



 メイは朝昼学校に通い、帰宅後はシズやアイと魔法の練習をしていた。



 ミミもメイと同じように朝昼学校に通っていたが、放課後の予定が一つ増えた。

 それは、部活動だった。

 水曜日に入部届けを先生に提出したミミは、早速その日、部活動の見学に行った。

 ミミが入ろうと考えた部活は弓道部だった。師匠との議論のあと、ミミなりに考えて出した結論である。

「かっこいい」

 上級生たちの道着姿を見ながら、ミミは感心していた。袴がいいよね。私も、着たらあんな風にかっこよくなれるのかな。

「新入部員さんですか?」

 先輩に声をかけられた。

「はい。ミミです。よろしくお願いします」

「よろしく。とりあえず今日は、練習見ていってね。明日からは、早速トレーニングに入ってもらうから、そのつもりで」

「はい!」

 なんかワクワクする。

 それにしても、トレーニングってなにやるんだろ。いや、そもそも、弓道の練習って、弓を構えて矢を放つの繰り返しなのかな。ああ、はやく弓に触れてみたくなってきた。

 部活動が初めてのミミは、わからないことだらけである。それでもただ緊張するのではなく、その現状を楽しもうと思えるのは、ミミの特技なのかもしれない。

 ただし、翌日の木曜日からミミを待っていたのは、基礎トレーニングという名の、(運動不足のミミにとっては)地獄のような特訓だった……。



 シズとアイは、朝から夕方まで、学校の勉強をしたり、魔法の練習をしたりしていた。特に、この週は火曜日から金曜日まで、毎日一度師匠に会いに行き、指導をしてもらっていたようである。

 金曜日、2人で魔法の練習をしていると、アイが話し始めた。

「シズさ、最近よく笑うようになったよね」

「え?」

 シズは首をかしげる。

「あ、自覚してない?」

「うん。最近ってことは、それまで、私、笑ってなかったってこと?」

「うーん。本の話とかしてるときは笑ってたように思うけど……、なんというか」

 アイは言葉を選ぶ。

「虚ろな目?というか死んだ魚のような目?というか、とにかく生気が感じられなかったときもあったんだよね」

「うそ」

「いや、ホントに。死んだ魚とかあまり言い方が良くないかもしれないけど。少し、気になってた」

「……」

 シズが考え込んだ。やがて、口を開いた。



「今考えてみると、ちょっと思い当たることがあるかも。なんていうか、現実がつまらなく感じることが度々あって、そういうときにそんな見た目になっていたのかもしれない」

「今は、つまらなく感じてないってこと?」

「……少し刺激的なことが続いたからね。操られたり、人を相手に戦ったり、新しく魔法を覚えたり」

 シズが話を続ける。

「1年前にも似たような感じだったかな。私が、魔法少女になったとき。今までに知らなかった世界が見えてきて、今まで持ってなかった力を得て、それで何か面白いことが起こるかもしれないって期待してた。だけど……。それもただの日常になってしまったあたりから、段々と、またつまらなく感じてしまっていた」

 シズが一旦口をつぐむ。

「日々を惰性で過ごしているだけのような気がしたからかな。それとも、進路選択とか、現実の問題から逃げたかったからかな。よく私にもわからないけど、とにかく世界が色あせて見えていたの」

「……小説をよく読んだりするのも、そのせい?」

「そこまで深く考えていなかったけど、そう、なのかも知れない。少なくとも、現実の世界よりもずっと刺激的で、ずっと生きがいのある人生を味わうことができるから」

 アイがしばし宙を眺め、訊いた。

「今は、生きがい、感じる?」

「前よりも」

 シズはアイに向かって、少しだけ微笑んだ。



 さて、金曜日の夕方のこと。

 お疲れ気味のミミが早めに部活を終えて、帰宅した。メイ、シズ、アイはすでにミミの部屋に来ていた。4人での話し合いが始まった。

「じゃあ、日曜日には、シズとアイは西へ帰るってことね」

 ミミの問いにアイが答えた。

「はい。また黒装束たちに襲われたり操られたりしたら嫌ですけど、いつまでもこちらにお世話になるわけにはいきませんし。それに、向こうの魔物の状況とかも気になっていますし」

 シズがその後を続ける。

「私たちも、西を守るためにできることはあるはずだから、それをしに行こうと思います」

「うん、わかったよ」

 ミミが頷いた。

 と、そのとき。

 ミミの携帯が鳴り響いた。ミミが携帯を開いて、目を丸くした。



「来た!鳴子に引っかかった人がいる」

 クッキーからの連絡はない。

 ミミの家の周りに張り巡らした仕掛けに引っかかったのは、ただの一般人か、それとも……。

「行こう」

 メイが立ち上がって、言った。

「待って、窓から見てみる」

 ミミが窓に向かっていく。カーテンを開け、外を眺め、そして息を呑んだ。

「黒装束だ……!」
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