[長編] 魔法少女は誰かを愛しちゃダメなんですか

第14話 師匠の話① ???のこと

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「この、お方がお師匠さん、なんですか」

 師匠を驚きの目で見ているアイがつぶやく。

「そうだ。僕が、師匠だよ。びっくりしたかい?」

 それを聞いた金髪美少年の師匠が応えた。

「まあ、この姿を見れば無理もないのかもしれないね。言っておくと、この姿は仮の姿だよ。本当の僕は××××だからね」

「ばつばつばつばつ?」

「言っちゃいけないってことだよ」

 くすくす笑いながら師匠が言う。

「ああ、そうか。魔法少女ではない魔法使いと会うのが珍しいのかい?ごく僅かだけれどね、僕みたいな生粋の魔法使いだっているんだよ」

 アイとシズは驚いたようである。

「さてと、早速、今日の面談を始めようか。といっても、いつもと違って、1対1ではないけれどね。まあ、座ってくれたまえよ」



 メイ、ミミ、シズ、アイは、それぞれ丸テーブルの椅子に着いた。師匠は椅子に座ったままそれを眺めていた。

 ミミが話を切り出す。

「今日ここに、師匠に会いに来たのは、いくつかお聞きしたいことがあったからなんです」

「ほう、興味深いね。だが、ちょっと待った。忘れていたよ。お客様にはお茶を入れないとね」

 師匠が立ち上がり、一方の白い壁のほうに歩いて行った。見たところなんの変哲もない壁のように見えるが、師匠が壁へと手を伸ばし、何かを取り出してきた。

「ポット!?」

 またもシズとアイが驚きの表情を見せた。いつの間にか、師匠の手にはポットがあった。

「用意しておいたんだ」

 そして指を鳴らすと、テーブルの上に突然、ティーカップが現れた。

「驚くことはないよ。実際、ただの性質変化の魔法を使っただけだから。君たちも少し練習すればできるようになる」

 そうシズとアイに話しかけながら、カップに紅茶を注いでいった。



「さてお待たせ、と。じゃあそのお聞きしたいこと、というのはなんなのか、聞いてみようじゃないか」

 全員にお茶を注いだあと、師匠が話を戻し始めた。

 ミミが質問を始める。

「はい。まずお聞きしたいのは、西の???という魔法使いについて、なんです」

「ほう」

 師匠が目を細めた。

「えっと、事の始まりはこちらのシズっていう娘が操られて西から東にやってきた、というところからです。操り主は???なんじゃないか、と考えて私たちで西に行きました。そこで出くわしたのが、???の手下的な存在である黒装束を纏った魔法使いなんです。で、その黒装束たちはメイを狙っているようでした。なんでも西のルートが拡大し続けていて、魔物退治が追いつかなくなる、ということで、メイを西の防衛に勧誘したようです」

「ふむ、それをメイは断った、と」

「はい。私は東を守る必要があるので」

 メイが簡潔に応えた。

「その黒装束たちは実力行使をしてきたので、私たちはそれに対抗して、ここまで逃げてきた、というのが今までの事情になります」

 ミミが一旦話を止める。

「僕に聞きたいのは、???の素性とか目的とか、かな」

「はい」

「よし。知っている限りで話してあげよう」



「まず、???は僕と同じく生まれながらの魔法使いである可能性が非常に高い。実は、僕自身、彼女(ああ、女性だってことは聞いたことがあるんだ)に、直接会ったことはないから、断定はできないんだけどね。それでも、どうも3年よりも前から魔法を使えていたんじゃないかという情報があるし、今現在、20歳前後なんじゃなかったかな。魔法少女にしては、少し年齢が高い。だから、おそらく???は魔法少女ではなく、魔法使いなんだ」

 ミミたち一同は真剣に話に耳を傾けていた。

「さて、次に彼女が一体何をやっているか、だけど、僕は、彼女がルートの拡大を抑える役割を担っているようだ、と推測している。知っての通り、ルートはこちらの世界とあちらの世界、すなわち魔界をつなぐ道のようなもので、そのルートを通って魔物がこちらの世界にやってくる。これが3年前になぜ突然開いたのかはわからないけれど、彼女は多分、それ以前からルートの動向を見張っていたんだと思う。そして、ルートが開き始めた時から、ルートを閉じるための手段を取ってきた」

 師匠が一息ついて、紅茶を一口飲んだ。それにつられて、ミミたちもカップに口をつけた。

「でも、彼女だけの力ではどうしようもできなかったんだろうね。現に、今もルートが拡大し続けているんだろう。彼女の魔力は、僕やメイなんかでも到底及ばないほど強力だけど、それでもルートを閉じるには至っていないようだね」

「???はメイよりも魔力があるんですか?」

 ミミが少し驚いて尋ねる。黒装束の中にもメイに匹敵するかメイを凌ぐほどの魔力を持っていたものがいたことから予想できたことではあるが。

「うん、比べ物にならないはずだ」



「黒装束とやらが暗躍しているのは、彼女自身がおそらくルートの対処に精一杯で他のことに手を回すことが難しいからだと思う。だから、手下に、魔物の襲来から街を直接守らせているんだろう。また、黒装束が言っていたという街の防衛が不十分である、というのも本当なんだろうね、嘘をつく理由はないし。ルートが拡大し続けているのなら、十分あり得る話だ」

 アイとシズが、この話に反応した。

「え、じゃあ、私たち、西の魔法少女がこちらに来ていると、守りが手薄になってまずいってことですか」

 アイが師匠に尋ねる。

「うん、そうかもしれない……。今、西では少しでも戦力が欲しいだろうからね」

 アイとシズが顔を見合わせた。帰らなきゃと考えているのだろうか。

「だけど、それについては、ちょっと聞いて欲しい話があるんだ。ミミの質問が終わった後にしようと思うのだけれど、いいかい?」

「はい」

「わかりました」

 アイとシズが頷いた。



「???その人について僕が知っているのは、この程度のことかな。参考になっただろうか」

「つまり、???は魔法使いで、ルートの拡大を阻止しているが間に合っていない。ルートの対処に忙しいから、街の防衛と戦力集めに黒装束たちを使っている、ということですね」

「その通りだよ、ミミ」

「ありがとうございました。これで相手の状況はつかめました。では、次の質問に行きたいと思います……」
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