エッセイ(雑記)

私が初めて買ったライトノベルは『涼宮ハルヒの憂鬱』でした

 ←私が初めてDVDが欲しいと思ったアニメは『涼宮ハルヒの憂鬱』でした →第14話 師匠の話① ???のこと
 深夜アニメを初めて見てからどのくらい時が経過したのでしょうか。

 もはや私には、正確な記憶がありません。

 一年だったかもしれませんし、半年だったかもしれません。

 DVDを買うぞ! という決意も薄れ、アニメの存在が別の関心事に頭の隅っこの方に追いやられていたときのことです。



 私は、某大手の中古本専門の書店にやってきておりました。

 その頃の私は、日々の忙しさのため、以前ほどは小説を読まなくなっていました。

 それでもたまにこうして、本屋にやってきては、売り物を眺めていたのです。

 まあ、趣味のようなものですね。

 今でも特に用もなく本屋をぶらついたりしています。



 少し話が逸れました。

 そこで私は、驚くべきタイトルの小説が棚に並んでいるを発見したのです。



「『涼宮ハルヒの憂鬱』……だと……!?」



 心臓が跳ね上がりました。

 なんということでしょう!

 私は、かのアニメの原作が小説だということを知らなかったのでございます。

 いえ、そもそも原作があるなどとは考えてもいなかったのです。



 早速、その小説を棚から引っ張り出しました。

 なるほど、確かにこの表紙に描かれている女の子は「涼宮ハルヒ」だ。

 どことなく違和感を感じるのは、アニメの絵と若干異なっているからでしょう。

 さっそくあらすじを読みます。

 うむ、間違いない……!

 これは、あのアニメの元となった小説なのだ……!



 この歓喜を、皆様にお伝えすることができるのでしょうか。

 ああ、やはりここでも、私の文章力が壁となって立ちはだかります。

 言葉しか伝わらないのが、大変もどかしくあります。



 ともあれ、これでまた「ハルヒ」たちに会えるのです!

 もちろん紙媒体なので声を聴くことは叶いませんが、それでも私の喜びようはそれはそれは激しいものでした。

 これを買いさえすれば、アニメ視聴時はよくわからなかったストーリーを読んで、理解することができる。

 またあの興奮を味わえるのだ。



 しかし、その喜びは長くは続かなかったのです。



「これを買いさえすれば、だと……」

 はた、と困りました。

 これを、レジに、持っていく、だって?



 タイトルをお読みの方はすでに承知していただいておられると思いますが、私が初めて出会ったライトノベルが、まさにこの『涼宮ハルヒの憂鬱』だったのでございます。

 この頃には、オタクと呼ばれる人たちがいるということを、私は認知していたのであります。

 このような表紙の小説を買うのは、オタクと呼ばれる人たちではないのか……?

 そして、悪いことには、私はオタクと呼ばれる人たちにあまりいい印象を抱いておらず、また、私自身がオタクになるということに抵抗感があったのです。



 いえ、この言い方は正確ではありませんね。



 正直に言いましょう。

 私は、かのラノベをレジに持って行き、店員さんに笑われるのを恐れていたのです!



 今でこそ、私の抱いた懸念はバカバカしいものだ、と言うことができます。

 しかし当時の私は、まだまだ<純>でありました。

 読む小説は、硬派なものが多く、アニメ調の作品を読んだことなどなかったのです。



 私は、悩みました。

 悩みながら、店内を何週もしました。

 同じところに止まっていると、怪しまれると思ったためです。

 時折、『涼宮ハルヒの憂鬱』が置いてあるコーナーを訪れては、興味ない風を装って、通り過ぎました。



 頭の中では、せめぎ合いが続きました。

 買いたい、という思いと、恥ずかしい、という思いが激しく衝突を繰り返していたのです。



 端から見れば、まさに挙動不審者であったことでしょう。

 しかし、私は、「ラノベに対する興味なんてこれっぽっちもありませんよ」アピールと、脳内のラノベ購入シミュレーション、レジに立つ店員が誰かの確認で忙しく、それどころではなかったのです。



 結局、その日、決心をしたのは、一時間は経過した後の事でありました。



 できるだけ誰とも目を合わせないようにして、レジへと持っていきます。

 このとき、カモフラージュとして別の小説で件のラノベを挟んでいました。

 これで、私が硬派な小説も読むのだ、ということを店員さんに知ってもらえるはず、というなんとも浅はかな思慮の結果です。



 滞りなく、そして、呆気ないほど簡単に、手に入れることができました。



 私は、拍子抜けしました。

 密かにレジの店員さんの顔色を伺っていましたが、何も気にした様子ではありません。

 所詮、私の気にしすぎだったのか。



 肩の荷が降りた気分でありました。



 そのときに購入した2冊のラノベ『涼宮ハルヒの憂鬱』および『涼宮ハルヒの溜息』は時間をかけてじっくり読もうと心掛けました。

 なにせあれだけ悩みに悩んで買った本なのです。

 可能な限り味わわなければ損である、と私は考えたのでございます。



 何が起こったのかわかりませんでした。

 いつの間にやら、私は充足感に満たされていました。

 言い知れぬ幸福な思いを感じながら、私は、今まさに、2冊目の『溜息』を読み終わったことに気づいたのでした。



 ラノベというものがかくも読みやすいものとは知らなかった私は、全く抵抗を覚えることなくスルスルと読んでいってしまったのです。

 しまった、と気づいたときにはもう遅かったのであります。

 もう読み終わってしまったのか……!



 3作目を買おうと決意したのは、この瞬間でした。

 3作目は、件の中古書店には売っておりませんでした。

 私は、新品の本を扱っている本屋さんへと急いだのです。



 実はここでもまた、先ほどと同じような葛藤があったのですが、それはまた別の話でございます。



 アニメやラノベが、今よりもマイナーであったときのお話です。

 いい時代になったよなあ、とは私の言であります。



 あの10年くらい前、初の深夜アニメの視聴がなければ、私がラノベを読み始める時期はずっと遅くなっていたでしょう。

 それは、今の私を構成する要因が、別のものになっていたという可能性を示唆するものであります。

 きっかけは些細なことかもしれませんが、それがのちに重大な意味を持ってくることは往々にしてあるのですね。



 私が、現在もラノベを読んだり(素人とはいえ)書いたりしているのは、もしかすると、あの経験に端を発しているのかもしれません。
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