[長編] 魔法少女は誰かを愛しちゃダメなんですか

第13話 思春期

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「師匠、ですか……」

 アイとシズが互いを見ながら首を傾げた。

「うん。こっちの、東の魔法少女は多分みんな知っていると思う。主に魔法少女の育成をしている人なの」

 ミミが説明する。

「今回、いろいろあったでしょ。操られたシズ、???の存在、黒装束、クッキーでも感知できない魔力のステルス機能……。一回、師匠に意見を聞いてみたらどうかなって」

「そうなんですね。西にも似たような立場の人がいますけど、東にも指導者的な人はやっぱりいるんですね」

 アイが頷いた。

「それで、その師匠ってどこにおられるんですか」

 シズが尋ねる。

「ちょっと遠いところ。隣の隣の町だよ、北の方の。でも、師匠のところに行くには、予約をしないといけないから、ちょっと今から電話してくるね」

 ミミはそう言って、携帯電話を持ち、部屋を出て行った。

「予約って……?」

 アイが疑問を口にする。

「師匠は、予約を入れないと会ってくれない。予約は、師匠と会う日程と、どれくらいの時間面談をするかを指定する。空いている日があれば、そこに予約が入るシステム」

 メイが答えた。ドアが開き、ミミが携帯を耳に当てながら顔を覗かせた。

「今日、空いてるって」

「じゃあ、今日の午後5時から、一時間」

「OK」

 ミミは廊下に出て行った。

 …………
 ……

 日曜日の昨日、ミミは電車で帰ってきてから、ふらふらしながら家にたどり着いた。

 アイやシズも一緒であった。母親に説明すると、前回シズを泊めたときと同じく、快諾してくれた。ちなみに母親には、西からの留学生が来た、とかなり怪しい説明をしたのだが、疑っているそぶりは見せなかった。とりあえず1週間程度の滞在を予定している、ということにしておいた。アイやシズもその間、向こうの学校はお休みするらしい。

 晩御飯(シズはやはり3杯ご飯をおかわりしていた。一体どこに入っていくのだろう)、お風呂、寝床の準備というルーチンをこなして、はたと困った。寝る場所がない。

 ミミは1人用のベッドを指し、

「ええと、2人でそのベッドは、やっぱりキツイよね」

「私は大丈夫ですよ」

 アイは応えるも、シズはちょっと困った顔をしていた。

「じゃあ、こっちの床にお布団引くから、1人はそこでお願いね」

「ミミさんはどうされるんですか」

 シズが尋ねる。

「私は、居間のソファーで寝るよ」

「なんか悪いですね」

 頭を掻きながら、アイが申し訳なさそうに言う。

「いいっていいって。お客様なんだし」



 翌朝。シズとアイが目覚めて、それぞれ伸びをして、瞼をこすっていると、タケルがいきなりミミの部屋のドアを開けた。

「あ」

 と、声を発したまま、タケルが固まる。

「すみませんでした!」

 ドアをバタンと閉めて、タタタっと階段を降りて行った。

「なんだったんだろう、今の」

 アイの問いにシズが応える。

「ほら、思春期だから」

 階下から、大音量の『ワルキューレの騎行』が聞こえた。

 …………
 ……

 その日、メイとミミは普通に学校へ行って帰ってきた。

 アイとシズはその間、町をぶらぶらしていたという。

 さて、再びミミの部屋。メイもやってきている。

「何か面白いものあった?」

 ミミがアイとシズに訊く。

「いえ、特には……、公園くらい?」

 アイが応える。シズは首を傾げただけだった。

「まあ、そうだよね。田舎だし」

「で、これからの予定だけど」

 メイが話をぶった切って、話を始める。

「師匠に会いに行こうと思う」

 かくして、冒頭に戻るのである。

 …………
 ……

 バスに乗って北へ向かった。

 バスを降りると、師匠の家まではメイが先導した。

 周りの様子は、たいしてメイやミミの町と変わりがなかった。ただの住宅街だ。



 ある家の前にミミが立つ。それは、見た目は普通の2階建ての家であった。ミミはインターホンを鳴らした。

「はい」

 若い女性の声がした。

「17時に予約した予約したミミですけど」

「どうぞお入りください」

 ドアを開けると、玄関の向こう、右側に上へと向かう階段があった。

「こっちこっち」

 階段はスルーして、正面奥の部屋へと向かった。4畳半の和風の部屋である。ちゃぶ台がある以外は他に何もない。

 ミミはおもむろに持ってきていたドライバーで一つの畳を持ち上げ始めた。

「え、ちょ、何を」

「いいのいいの」

 うろたえるアイにさらりと応える。

 畳の下には扉があり、それを開けると、下へと続く階段があった。

「こんな風に部屋を隠している理由、本当はよくわからないんだけどね」

 ミミは言いながら、下へと降りて行った。メイ、アイ、シズの順でそれに続いた。



 暗く狭い階段を降りると、そこにはやはり暗い色のドアがあった。

 ミミがノックする。

「はい、どうぞ」

 中から声がした。

「失礼します」

 ドアを開ける。光が溢れでくてくる。ちょっとまぶしい。

 中はかなり広い部屋だった。壁が白い。真ん中に6人くらいが座れそうな丸テーブルと椅子がある。

 その椅子の一つ、テーブルを挟んだドアの真正面に彼は座っていた。

「久しぶりだね、ミミ」

 緩やかに片手を上げた見た目10代後半の金髪の美少年が、目的の人物であった。
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