[長編] 魔法少女は誰かを愛しちゃダメなんですか

第12話 魔物討伐

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 メイ達と戦ったアキ以外の4人の黒装束は、それぞれの担当地区に出現する予定の魔物を討伐するために、目的地へと向かっていた。



 初めにその地点に到着したのは、ハル(黒装束B)であった。

 待つこと数分。突然、まばゆい光とともに魔物が出現した。

 魔物は、大型犬のような姿をしていた。だが、剥き出しの牙は鋭く、目に入ったハルを睨みつけるその眼光は、とてもペットとして飼えるようなものには思えないだろう。

 ハルは目を閉じ、魔力発動を始めた。体の周囲に魔力の渦がまとわりつく。

 大型犬は、早速、口を大きく開けて、ハルめがけて突進、跳躍してきた。

 ハルは目を開けた。準備完了。

 魔物の牙がハルに到達するその直前に、魔物めがけてハルは魔法を放った。



 次の瞬間には、もう、魔物はコア以外跡形もなくなっていた。



 ハルは地面に落ちたコアを拾い、アキのいる場所へと急いだ。



 ✳︎ ✳︎ ✳︎



 スミ(黒装束C)は敵を目にして、思わず目を見開いた。

 二足歩行の人型……?

 その魔物は、皿のないカッパと呼ぶにふさわしい姿をしていた。頭に髪はなく、ツルツルである。口はまさに想像上のカッパのようにクチバシがついていた。緑色をした体に布切れをまきつけている。手には槍を持っており、その切っ先はスミに向けられていた。

 初めて見る魔物である。いつもはこの世界の獣が変形したような生き物が出現するのだが、人に似た種族は初めてである。

 これもルート拡大の影響だろうか。

 考えながらも、スミはすでに準備を完了していた。



 魔物がスミに向かい踏み込んできた。と同時に槍を突き出してくる。

 スミの反応は速かった。槍をこちらに向けていた時点で、相手の攻撃は読めていた。

 スミは、魔物とスミの間に分厚い透明な壁を生成した。

 ガン、と槍が壁にぶち当たる音がした。衝撃で、魔物が槍を落とす。

 すかさず壁を迂回して、右側から電撃を喰らわせた。



 当たった。

 と思ったが、魔物はしびれた程度で、すぐさま取り落とした槍を拾い上げた。

 いつもの敵なら、あの電圧の電撃で倒れるのに……。

 そう思いながら、一旦距離を取り、スミは、もう一撃喰らわせるための準備をしていた。

 魔物はまた槍を構えた。



 魔物がまた突っ込んできた。スミは、今度は生成したいくつかの石を魔物の頭部めがけてテレキネシスで投げつけた。

 頭部に石を喰らい、魔物がひるんだ隙に接近し、さきほどよりも高い威力の電撃を放つ。

 直撃した。

 さすがに今度は効いたようだ。魔物は体勢を崩し、その場に倒れようとした。

 そのとき。



 ビュンと槍が横に薙ぎ払われた。スミは、咄嗟に避けたものの、腕に傷を負ってしまった。

 最後の一撃だったのだろう、魔物はそのまま倒れ、動かなくなった。

 スミは負傷した腕に治癒魔法を施しながら、魔物が光となって消えていくのとをじっと見ていた。



 このレベルの魔物が出現するようになるとは。

 他のみんなは大丈夫だろうか……。

 魔物が消えた後、コアを拾い、マリの地区へと駆けていった。



 ✳︎ ✳︎ ✳︎



 カイ(黒装束D)は、大型犬の姿をした魔物を倒した後、落ちているコアを拾い上げた。

 それにしても、この犬ころ、いつものよりも大きかったな。

 そして、他の黒装束の援護に向かうでもなく、別の方向に歩いて行った。



 ✳︎ ✳︎ ✳︎



 なぜこの魔物は倒れないの。

 マリ(黒装束E)は何度目かの電撃を放った。

 しかし、ブルブルと震えるだけで、カッパ型の魔物は倒れない。またこちらに槍を構えた。

 マリは身構えた。

 これまでテレキネシスで槍の矛先を逸らしては、カウンターとして電撃放出を繰り返していたが、一向に相手が倒れる気配がない。

 速く倒さないと……。

 マリは焦っていた。



 と、カッパ型は思わぬ行動に出た。構えた槍を降ろし、空いている手の掌をこちらがわに向けたではないか。

 マリの頭にハテナマークが浮かんだのも一瞬、その意味に気付いてすぐに準備をした。

 カッパ型の手から、勢いよく水が噴出した。

 偽物質生成!

 恐ろしく速いスピードでやってくるその水の噴射を、マリは自身にテレキネシスを作用させ避けた。

 危なかった。あの水、痛いどころでは済まない。

 物質散消も間に合わなかった。



 魔法が使える魔物なんて、そんなの反則でしょ。

 マリは思いながらも構え直した。しかし、マリの魔力では、電撃攻撃で相手を落とすことはできない。

 どうする。どうする。

 答えの出ない疑問が頭の中を渦巻く。



 カッパ型が、また突進してきた。

 マリはまたテレキネシスの準備をしたが、今度の相手の出方は違っていた。

 大きく斜め下から上に切り上げてきたのだ。

 突かれる場合なら、テレキネシスで少し逸らすことができればそれで避けることができるが、振るわれたらテレキネシスでは対処できない。



 マリは後ろに下がって避けたものの、黒装束を斜めに切り裂かれていた。

 これは、勝てない……!

 相手のタフさもさることながら、こちらの戦法への対応力もある。

 どうする。どうする。

 やはり答えの出ない問いを繰り返す。頭の中で止まらなくなる。

 どうする。どうする。



 と、右から突如現れた何やらすばやい影によって、マリの視界は塞がれた。

 誰かが目の前に背を向けて立っている。その手には刀があった。



 ゆら、とその姿が揺れたと思うと、次にマリの目に見えたのは、槍ごと真っ二つにされたカッパ型魔物の姿だった。

 思わず瞬きを繰り返してしまう。



 倒れたカッパ型のコアを抜き取ったその人物は振り向いた。

「サキさん!」

 マリは喜びの声を上げた。
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