エッセイ(雑記)

「発達障害者の受験、配慮進まず」について思うこと

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 西日本新聞の朝刊一面に載っていたので、読んでみた。
 色々と違和感を覚えたので、ここに記す。

 ちなみに、件の記事はネット上でも読める。
 発達障害者の受験、配慮進まず 九州7県公立高、措置は十数件
 以下、引用しながら、つらつらと思ったことを書いていく。

 元記事では最後に書かれてある項目だが、まずは発達障害とは何か、という問いから。

 自閉症やアスペルガー症候群、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)などの総称。集中力が続かない、意思疎通が苦手、物事を計画的に進められないなど、人によって特性が異なる。脳機能障害が原因とされるが、詳しいメカニズムは分かっていない。2012年の文部科学省調査では、通常学級に通う小中学生で6・5%、中学3年は3・2%に可能性があるとされた。


 (上記引用において太字は筆者による)

 ここで注意をしなければならないのは、「発達障害」とはあくまで「総称」である、ということ。アスペルガーも学習障害もADHDも症状はバラバラである。少なくとも、「彼は発達障害者」と言っただけでは、その人がどのような特徴を持っているのか、まったく伝わらないのでとても注意が必要。以下の記事についても同様で、「発達障害の受験生」と書かれてあるが、どのような障害を持っているのか具体的に記述がなされていないため、受験時にどう困るのかさっぱりわからないことを念頭に置いてほしい。

 九州7県の2016年度県立高校入試で、発達障害(未受診を含む)の受験生に時間延長などの特別措置が取られたのは、全志願者約8万5千人のうち十数件(約0・02%)にとどまることが西日本新聞の取材で分かった。発達障害の可能性がある中学3年生は3%程度の割合でいるとされ、ほとんどが申請せずに受験したとみられる。入試要項に配慮規定を明記していない県がある一方、受験に不利に働くと懸念して申請しない保護者も多いようだ。


 はい。

 ここですでにおかしなことを言っていることに気づいていただきたい。上に述べたとおり、発達障害者の症状は様々であり、十把一絡げに扱うことは不可能である。

 発達障害者のうち、アスペルガー(自閉症スペクトラム障害)については、(私の見解では)特別な配慮は不要と思われる。

 ADHDに関しては、その程度によっては配慮が必要かもしれない。特に他の受験者の迷惑になる可能性があるので、(以下に示す通り)別室での受験が好ましい場合もあると考えられる。

 学習障害については、私は詳しくないので何とも言えない。(詳しくは述べないが、学習障害持ちの生徒が、普通科高校へ、はたまた総合大学へ進学することに関してはもっと議論がなされていいと思う。別の道も考えてみていいのではないだろうか)

 このように症状別にみていくと、「発達障害を持つ受験者全員が配慮を必要とする」というのが間違いであることがわかる。

 九州各県の教育委員会によると、16年度入試での措置数は、福岡5、佐賀4、長崎1の計10件。他の4県は申請がごく少数で「本人の特定につながる」などとして非公表だった。14、15年度も同様の傾向だった。

 各県教委によると、出身中学を通じて申請があれば、時間延長や別室受験、解答用紙の拡大、漢字に読み仮名を振るなど、必要な措置を検討するという。このうち、福岡、佐賀、大分、鹿児島各県は、入試要項に「障害がある受検者等への配慮」などと明記。熊本県は「身体に障がいがある受検者-」と記しており、長崎、宮崎両県は記述がない。


 (上記引用において太字は筆者による)

 何度も述べたとおり、発達障害があるという情報だけでは、何が障害となっているのかはわからない。したがって、この場合の配慮が合理的なものなのか実のところ、私には判断がつかない。しかし、推考することはできるので、以下にこれらの配慮が合理的なものなのかどうかを述べていきたい。

 まず、時間延長について。
 これについては全く分からない。学習障害持ちの受験生のための配慮だろうか。これを許すのは不公平ではないか、と筆者には思われる。少なくとも、他の受験生にしてみれば、不公平極まりない配慮だろう。これについては、障害に関する理解とその配慮の説明が不可欠である。

 次に、別室受験について。
 これはADHD持ちの受験生に対する配慮であると思われる。あるいは、人が大勢いる環境では落ち着かない、などの症状を持っている受験生向けかもしれない。いずれにせよ、試験内容については他の受験生と変わりがないので、この配慮は問題のない、合理的なものであると考える。

 解答用紙の拡大について。
 これは筆者には誰向けの配慮なのかわからなかった。しかし、これも別室受験同様、試験内容を変更するものではないので、問題はないと考える。

 漢字に読み仮名を振ることについて。
 これは、学習障害持ちの生徒のための配慮だと思われる。が、これはいささか不公平のような気がする。問題文を適切に読めるか、というのは、まさに試験で問われている能力の一つである。なぜ読み仮名を振る必要があるのか、なぜそれが合理的な配慮であると言えるのか、詳細な説明が欲しいところである。
 
 

 文部科学省によると、発達障害の可能性がある中学3年生は40人学級に1人程度と推計される。だが、入試で特別措置を取った公立高は、全国約3500校のうち12年度93校▽13年度171校▽14年度177校▽15年度126校-と3%程度にとどまる。ある県教委の担当者は「申請がないと対応できない。周知が行き届いていない面もあるのではないか」と分析する。

 あえて申請を見送る保護者もいる。目に見えない障害のため同級生の親から苦情を受けたり、教師の無理解から怒られてばかりだったりと、誤解や偏見に悩んだ経験を持つ当事者や家族が少なくない。福岡県の父親は「かえって受験に不利になるのでは」として申請をしなかったという。

 今年4月には障害者差別解消法が施行され、公立高の入試や授業で障害の特性に即した「合理的配慮」が義務化された。熊本県教委は「発達障害にも既に対応している」として入試要項を変更する予定はないとするが、長崎県教委は17年度から改める。宮崎県教委は「今後検討する」としている。


 (上記引用において太字は筆者による)

 太字の部分、「目に見えない障害のため同級生の親から苦情を受けたり、教師の無理解から怒られてばかりだったりと、誤解や偏見に悩んだ経験を持つ当事者や家族が少なくない」について。
 誤解や偏見に悩まれている方々がいらっしゃることについては同意する。

 中学が申請後押しを

 日本LD学会前理事長の上野一彦東京学芸大名誉教授(発達臨床心理学)の話 発達障害者は特定分野に秀でた人もいる。万能型を求める現在の入試制度では才能の芽を摘み、国家の損失につながりかねない。高校は義務教育ではないとはいえ、大学入試センター試験では配慮されており、高校入試でも十分な措置が必要だ。小中学校での支援を手厚くして、申請を後押しするべきだ。


 (上記引用において太字は筆者による)

 太字部分、「発達障害者は特定分野に秀でた人もいる。万能型を求める現在の入試制度では才能の芽を摘み、国家の損失につながりかねない」について。
 ここは差別じゃないか、と思われても仕方ないと思う。

 特定分野に秀でた人がいるのは、何も発達障害に限った話ではない。健常者にだって、得意不得意はある。発達障害では、それが強調される形で表面に出ているだけだ。万能型の入試で才能の芽が摘まれているのは、健常者にとっても同じことである。ここで発達障害者を特別視する必要はない。

 また、特定分野に秀でていない人はどうなるのか、問うてみたいところではある。入試で蹴落とされて当然なのか?

 万能型を求められるのが嫌なら、別の道を進めばいいのでは、と筆者は考える。普通科高校や総合大学に限って言えば、万能型が求められるのは当然のことであるように思う。
 というか、実際には各教科の試験の総合点数で競われるはずなので、不得意教科を得意教科で補うことは十分可能だと思う。それゆえ、現在の入試制度が、本当に万能型を求めているのかどうかは議論に値すると考える。

 国家の損失うんぬんについては話が大きすぎるので、私はこれを扱わない。

 と、ここまで引用を交えながら筆者の意見を書いてきたが、異論反論は大歓迎である。
 ただし、その場合、可能な限り「発達障害」という言葉は使わないでいただきたい。
 なぜなら、度々主張している通り、「発達障害」という言葉だけでは、具体的な障害がなんなのか伝わらないためである。
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