[長編] 魔法少女は誰かを愛しちゃダメなんですか

第10話 大通りの戦い

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 黒装束の目的は、メイだ。相手側の勝利条件は、メイの無力化だろう。

 逆にこちら側の勝利条件は黒装束を戦闘不能にすること。

 双方ともに殺意はもちろんない。特にこちら側には、相手と敵対するメリットがない。できれば戦わずに済めば良かったが、そうもいかないだろう。黒装束の追っ手を振り切るには、こうするしかない。



 大通りの左にある店の壁際にシズ、その右、通りの真ん中あたりににメイ、その斜め右前にアイがいる。先の勝負で魔力を使い果たしたミミは、メイの後方にいる。ミミは今回は戦いには参加できない。そして、相手の黒装束はメイの正面、10メートルくらい離れた付近にいた。



 黒装束が動く。

 強力な風の魔法を一直線にメイに向かって放った。左右にいるシズとアイが余波を喰らいよろめく。メイは杖を前に突き出し、大きな円を描いた。

 風が搔き消える。

 次の瞬間には、もうメイの攻撃は始まっていた。こちらも風で応戦する。

 今回は、神経支配は通用しない。メイと黒装束に魔力差がほとんどないためだ。だから、一撃必殺も使えない。

 さらに、シズとアイが左右から風を放つ。

 黒装束は前方3方向からの攻撃に慌てることなく、右手を水平に薙ぐことでシズの風とメイの風を散消した。アイの風が黒装束まで届いたかに見えたが、黒装束はビクともしない。



 アイの風が弱かったのか?いや、ここでアイが手を抜くわけがない。なぜだ……。



 メイは考えながらも、次の手を打っていた。攻撃頻度を増やす……!

 攻撃型の使い魔チョコを呼び出した。

「ちっ」

 チョコの舌打ちが聞こえるがいつものことなので気にしない。

「あの黒装束を」

「わーったよ」

 チョコも攻撃に加勢し始める。メイの左、シズの右のあたりで風を放つ。



 これで4対1だ。

 メイ、シズ、アイ、チョコで遠距離の風の魔法を乱発する。

 しかし、相手はやはり動じず、メイ、シズ、チョコの風を散消しては、メイに風を放ち返す。攻撃はメイに集中している。メイの攻撃魔法の頻度を下げるためだろう。さすがの黒装束も立て続けにメイに攻められたら、防戦を強いられてしまう。

 広範囲の魔法を使い、4人を巻き込むという方法もあるが、魔力消費が大きいのと、隙が生じるためだろうか、相手は使ってこない。

 謎は、アイの攻撃だ。アイの風は相変わらず避けずに喰らっているはずなのに、ダメージもなければ、体勢が崩れたりもしない。



 アイの弱点である、風の強弱を見切っているのか?相手はおそらくここまで、魔力の微量な痕跡を目印にして追ってきたのだろう。ならば、魔力を視認できているはずだ。しかし、仮に見切っていたとしても、避けなければ意味がない。黒装束は一歩もその場を動いていない。アイの風の最も強力な部分を喰らっているはずだ。

 メイは考え続けながらも、攻撃を止めない。



 攻撃を喰らってもダメージが入らない……。

 そうか、対魔法耐性を上げる魔法をかけられているのか。

 しかし、人一人を軽く吹き飛ばす程度のアイの風をものともしないとは、上級レベルの耐性を身につけているようだ。おそらくもう1人の大魔力の黒装束がかけたのだろう。

 それならば、アイの風を避けもせずに喰らっていることに納得もいく。

 しかし、それがわかったところで、状況は変わらない。このままでは膠着状態だ。

 どうする。



「シズ、アイ、回り込んで!」

 命じるとともに、メイも右前方へ歩を進める。この間にも風の応酬は続いている。仲間達もメイに合わせて前進を始めた。

 すると、やがて、シズの風が当たり始めた。黒装束が散消しきれなくなってきたのだ。黒装束がシズの攻撃を喰らうたびにゆらぐ。これで隙が生じる。



 前進することで黒装束への攻撃に角度がついた。

 似通った角度の方向からくる風は、一度の動作で打ち消すことができるが、角度がつけばそうもいかなくなる。実際、黒装束の両の手が対応に追われている。



 アイが走って黒装束の後ろに回った。

 ダメージの入らない風の魔法を諦めて、近距離でテレキネシスを使うようだ。

 シズ、メイは通りの両端から、黒装束の両側に回り込んだ。

 チョコは黒装束の前方、かなり近距離にいる。



 相手は対魔法耐性を上げている。中級以上の魔法を当ててもきっと死なないだろう。そう考え、メイはチャンスをうかがった。接近したタイミングで、放つ。

 だが、さすがに分が悪いと見たのか、黒装束が初めてその場を離れた。

 と、思った次の瞬間には、シズの目の前にまで来ていた。



 速い!

 黒装束がメイへの攻撃を止めて、シズへの対処に移ったのだ。

 近距離攻撃か神経支配か。

「シズ!」

 メイが声を上げるも、シズは目の前の黒装束に対して咄嗟に反応できずにいた。

 黒装束が右手をシズに突き出したその時。



 シズと黒装束がそれぞれ後ろの方向に吹き飛んだ。



 チョコだ!テレキネシスで2人を飛ばしたのだろう。

 しかし、チョコは黒装束の攻撃を喰らっていた。

「ちっくしょ」

 呟きながら、チョコは掻き消えた。これで元の3対1になった。
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