[長編] 魔法少女は誰かを愛しちゃダメなんですか

第9話 逃走

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 混乱しないように、路地裏にいた5人の黒装束に、ここで仮に記号をつけておく。

 まず、アイが話しかけようとした黒装束をAとする。次に、路地の奥の方(アイがいた側)からやってきた黒装束をBとする。さらに、通りの方(メイがいた側)からやってきた黒装束をそれぞれC、D、Eとする。



 メイが大閃光を放った時、咄嗟に反応したのが黒装束BとCである。BとCはそれぞれ、自分と、自分の側にいる仲間たちに、メイがやったのと同じように、味方の目の周囲に光を通さない偽物質を生成し、目を保護した。黒装束は、メイが閃光を放つ前の段階で、すでに魔力を体の周囲に巻きつけていたので、即座に魔法を放つことができたのである。

 しかし、事態の変化は速かった。メイは次に偽物質生成により、広範囲における煙幕を張った。これで敵味方全員の視界が奪われたことになる。煙幕が効力を発揮している間、メイは仲間を次々とテレキネシスで飛ばし、黒装束に囲まれた状態からの脱出を試みた。



 黒装束たちは、煙幕により見えない中で起こった一連のメイの行動を捉えることができなかった。

 一瞬遅れて、黒装束AとEがエネルギー変換・風を放ち、煙幕を吹き払い始めた。だが、煙幕は広範囲に広がっており、しかもどの方向を優先的に吹き飛ばすべきか判断がつかなかったため、これに多少の時間を要した。



 路地裏の煙幕が払われたとき、メイたち魔法少女の姿はなかった。

 他の範囲の煙幕を風で払いながら、Eが他の黒装束たちに尋ねる。

「どうしますか」

「追う」

 Aが応えた。

「ハル」

 続けて、AがBの名前を呼んだ。

 ハルと呼ばれたBは、返事をしたり、頷いたりなどの動作はせず、Aに魔法をかけ始めた。強力な魔力探知の魔法である。これにより、Aは微量な魔力の残滓をも視認できるようになった。さらに、対魔法耐性を上げるための魔法も、重ねてAに掛けられた。

 加えて、CもAに対し、神経強化と体重軽減の魔法を掛けた。

 Aは、メイたちの残した魔力の跡を追いかけ始めた。



「では、私たちも」

 Eが言葉を放ったその瞬間、路地裏に残った黒装束全員にある知らせがきた。

「複数の魔物が来る。メイはアキに任せて、私たちは出現予測地点へ」

 アキというのがAだろう。ハル(B)が言うと、C、D、Eが頷き、各々の担当地点へと散っていった……。

 …………
 ……

 いつの間にか、メイに代わりアイが先頭に出ていた。土地勘のあるアイが先導する形になる。

 ミミはどこに向かっているのかわからないまま、とにかく足を動かした。今まで感じたことのないほどの風を切る感覚。だが、そのことに注意を払っている余裕はなかった。無我夢中で走り続けた。



 どれくらい走っただろうか。

 開けた大通りに出た。様子からすると、街の中心、駅の近くらしい。

 アイがスピードを緩め、やがて立ち止まった。メイ、シズ、ミミもそれに従う。

「撒けた、でしょうか」

 アイが誰にともなく問いかける。というか、なんで普通に話せるの。私なんて、ゼーゼー息をするくらいしかできないくらいのに。

「わからない」

 メイがアイの問いに答えたが、やはり息は上がっているようだ。

「でも、これだけ距離を置けば、私達を見失ってくれてもいいと思う」

 いつになく、メイが弱気に見える。

 ふと思って見渡すと、シズは大通の店の壁に寄り掛かって肩を上下させていた。フラフラである。もっとも、ミミも他人を気遣えるほどの余裕はないのだが。

「あの黒装束たちは、まずい」

 メイがつぶやき始めた。



「まず、クッキーが黒装束に反応できなかった。なぜかわからないけど、魔力発動をしていない状態では、自身の魔力を隠すことができるらしい。カブラギ通りでクッキーが感知したのは、路地奥に去っていった魔法少女。サキって言ったっけ」

 メイがアイに問う。

「はい。知り合いです」

 メイは頷く。

「あの黒装束の衣装に仕掛けがあるのかもしれない」

 それから一息ついて、続ける。

「次に、1人を除いた黒装束たちの魔力が大きかった。特に、アイの方、路地の奥の方にいた2人の黒装束(A・アキとB・ハルのことである)は、私と同程度かそれ以上の魔力を持っていた」



 黒装束に、メイに匹敵する魔法使いがいた!?

 それは、確かにまずい。いや、ヤバい。

「それを見たとき、咄嗟に、逃げを選んだ。戦うのは良い手じゃないと判断した。だから、目眩しをして、テレキネシスでみんなを飛ばして、強制的に脱出させた」

 メイがまた、一呼吸おく。

「とにかく、今は東へ逃げることを最優先にする。ミミもそれでいいとして、アイとシズはどうする?」

 その問いに2人が応えることはできなかった。

 なぜなら……。



 メイ、アイ、ミミ、シズは同時にそれに気づいた。

 おそらく駅へ向かう方面の大通りに立ち塞がっていたのは、黒装束の1人だった。すでに魔力発動をしている。

「1人か、それとも」

 メイが黒装束を見据えながらつぶやく。クッキーを新たに呼び出して(路地裏で一旦消していた)、周囲を調べさせた。

「反応はないよ」

 別の黒装束が姿を見せず、魔力発動をしていない可能性もある。しかし、

「結局、アレを倒さないと、ダメみたい」

 メイがミミ、シズ、アイの方を見て、その言葉を口にした。

「戦うよ」


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