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倉庫(掌編・短編小説)

[5分で読める] 私は高校生探偵(自称) [短編小説]

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「最近、この高校の付近で、不審者が出没しているそうです」

 今は終礼の時間。先生が手の持つプリントを見ながらしゃべっている。

「えー、男子小学生に声をかけたり、触れたり、抱きしめたりする、と。まあ、変態の一種ですね。黒っぽい服装をしていた、ということ以外容姿に関しては情報がないみたいです」

 この高校付近で、小学生ということは、××小学校の児童なのかな。

 私はぼんやりと考えた。

「ま、皆さんも十分に気をつけてくださいね。特に女子の皆さん。最近多いですからね」

 被害に遭っているのは男子みたいだけど。

 密かにツッコミを入れる。

「連絡事項は以上です。では何か他に連絡のある人はいますか?」

 この不審者出没事件、ちょっと調べてみようか……。



 私は、高校生探偵を自称している。父の影響だ。



 父は、探偵業を営んでいる。といっても、漫画やドラマや小説みたいに殺人事件に巻き込まれたりすることはない。不倫調査や素行調査、探し物なんかの依頼が多いみたい。ちゃんと家とは別に、事務所も構えている。一人助手兼事務の若い男性のお手伝いさんも雇っている。探偵などというアヤシイ商売にしては、なかなか繁盛している方ではないのだろうか。

 ちなみに、母は父の業務には一切関わっていない。普通の専業主婦である。



 放課後になった。

 私は、真っ先に職員室へ行った。椅子に座ってぐったりしている先生に不審者の詳細な出現ポイントを問うた。

 先生は少し怪訝な顔をしていたが、詳細が書かれているプリントを渡してくれた。

 その足で、校舎を出た。



 私は部活動には所属していないし、塾にも行っていないので、放課後は自由である。

 この自由な放課後を、「探偵時間」と呼んでいる。私が、ただの高校生から探偵に変身する時間だ。



 プリントに示されている出現ポイントは4箇所。

 どれも家々が立ち並ぶ住宅街の辺りか。

 早速一つずつ回ってみよう。



 1箇所目と2箇所目では、その場所を確認したものの何ら手がかりは得られなかった。

 特徴としては、人通りが少ないことが挙げられるだろうか。小学生が遊んでいる姿も見られない。

 ここらでは、夕方になって不審者が現れたそうだ。

 うーん、私がシャーロック・ホームズだったら、きっとここからでも手がかりを見つけてみせるのに……。

 仕方ない、次へ行こう。



 3箇所目。

 そこでは、見るからに怪しい人影を見つけた。

 杖をついた中年男性が足を引きずりながら、付近の様子を観察している。その手にはカメラがあり、時折何かを写真に収めているようだった。



「っていうか、何してんのお父さん」

 男性がこちらを振り向いた。

「おお、緋(あかり)か、どうしたんだ?」

 お父さんはニコニコしている。

「もしかして、お父さんも不審者を?」

「『も』ってことは、お前、またいらんことに首を」

 お父さんの表情が変わった。あ、やば。失言しちゃった。

「お父さんはお前が心配なんだ。頼むから探偵稼業はお父さんに任せてくれないか」

 また小言が始まった。

 全くもう、これだから。ついてなかったなあ。

「ごめんね。お父さん、愛してるよ!」

 私は駆け足でその場を去った。

「おい!」

 足の不自由な父には到底追ってはこれまい。私の足は母親譲りなのだ。



 4箇所目。

 小学生が一人で縄跳びをしながら遊んでいた。

 低学年だろうか、背はかなり小さい。

 と、そこへ、

「ごめん、ぼく、道を教えてくれるかな」

 低い声でその小学生に話しかける人物がいた。

 服装は……、黒。

 当たりか!?

 フードを被っており、顔は見えない。

 電信柱の陰に隠れ、いざとなったら飛び出せるように準備をしておく。

 小学生は縄跳びを止めて、答える。

「こっちのほうにいくとあるよ」

「ありがとうね、ぼく」

 その人物が言った瞬間、子供をガバッと抱きしめようとした。



 私は、弾丸(自称)の如く飛び出した。

「離れろ!」

 声を上げる。犯人は気づき、動作を一瞬止めた後、逃げ出した。

 それを追う私。

 だが、走れども走れども距離は縮まらない。

 それどころか、差は開く一方だ。



 曲がり角を3度曲がった後、ついに犯人の姿を見失った。



 トボトボと歩き、小学生がいた場所まで戻ってくる。

 その子供は何事もなかったかのように、縄跳びを続けていた。

 隣には、いつの間にか、お父さんの姿が。

 何かを手に持ってジッと眺めている。

「お父さん、どうし」

 あの時のお父さんの驚愕の顔は、いつまで経っても忘れることはないだろう。



 お父さんの手にあったのは、以前お父さんが母に贈ったハンカチだったのだ。


 …………
 ……


 離婚が成立した。

 母は、父からの<2度目>の離婚宣言を、理由も問わず承諾した。

 今の父は、私とは血が繋がっていない。母親の再婚相手だったのだ。

 以前の離婚の原因は、母の不貞だったというが、詳しいことは知らない。

 ともかく、今回もこれで両親は離れ離れになった。



 まだ未成年で自立していない私は、強く、父親についていくことを訴えた。

 父は反対しなかった。

 母は、私をそばに置いておきたいと考えていたようだったが、父に説得されたのか、やがてはそれを諦めた。



 こうして、私と父、二人の生活が始まったのである。


 …………
 ……


 何もかも、私の計画通りだった。

 ベッドの上、隣で眠るお父さんを眺めて私はほくそ笑んだ。

 父も<これ>を望んでいたに違いない。

 しかし、離婚に必要な母の不貞の証拠がつかめなかったのだ。

 だから、私は不審者の話を聞いた時、計画を実行することにした。



 母には負い目があったのだろう。

 もし母が離婚に反対していれば、この計画は失敗に終わったはずだ。

 私の企てが二人にバレる危険性だってあった。

 これは賭けだったのだ。

 そして、私は、勝利した。



 ハンカチを落としたのが私であるとは、ついにバレなかった。


 …………
 ……


 父は、高校を卒業した私を正式に探偵助手に雇ってくれた。



 今、私は幸せである。

 最愛の人とずっと一緒にいられるのだから。
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