[長編] 魔法少女は誰かを愛しちゃダメなんですか

第1話 謎の少女

 →第2話 少女の話
 メイは急いでいた。この町の北東部で大きな魔力の反応を感知したのだ。
 この町には、メイともう一人しか魔法少女はいなかった。ということは、誰か3人目がやってきたのか。あるいは、敵か。

 ミミはもう着いているのだろうか。携帯に連絡してみたものの、つながらなかった。魔力感知は無駄なのでしていない。ミミのそれは感知できないほど小さい。

「メイ、そろそろ近いよ」
 クッキー、メイの使い魔的な存在、が耳元でささやく 。
「わかってる」
 まだ被害は出ていないようだ。暮れゆく町は、いつも通り平和に見える。

「あれだっ、メイ!」
 見えてるよ、クッキー。
 そこは公園。夕日に照らされて赤く染まっている。そこに制服姿の1人の少女が立ったまま、目を閉じて何かを呟いている。普通の人にはそれだけしか見えないだろう。しかし、メイには見える。彼女のまわりには、かなり大きな魔力の源が渦巻いている。

「あなたは、誰?目的は?」
 少女に近づき問うが、答えはない。その間にも、少女は自身の魔力を増幅させている。
 あと10歩程度のところまで来た。この距離なら突発的な攻撃にも即応できる。

 少女が目を開け、メイを見据えた。と、同時に突風が巻き起こり、メイに襲いかかる。
「きた」
 クッキーがささやくよりも速く、メイは手にした杖を少女に向けて突き出し、すばやく大きな円を描いていた。
 突風は搔き消えた。

 少女は目を見開いていた。自身が並の使い手ではないという自負があるのだろう。
 そのはずなのに、魔法がほとんど一瞬のうちに打ち消された。
 何か言葉を言い放つと、メイは杖で地面を3度ついた。
 少女はメイの行動の意図を理解し、逃げることができなかった。

 その時点で少女の敗北は決まっていた。

 意識を失う直前、メイの言葉が脳に届いた。
「あなたは、私には、勝てない」

 …………
 ……

「メイーー!大丈夫だった!?」
 全てが片付いたあと、ミミはやってきた。陽は落ち、あたりは暗くなっていた。
「ごめんね。遅くなって。ケガはない?」
「別に。それより、その娘、何とかしといて」
 メイはそう言い残し、去っていった。1人の少女が公園のベンチに横たわっている。
「……はぁ、相変わらず冷たいなぁ」
「まあ、いつものことだよ。そんなに落ち込まないで」
 クッキーの慰めは耳に入らないらしい。もう一度溜息をついたミミは、少女の方へと歩いて行った。
「……それにしても、この娘もすごい大きな魔力を持ってみたいだけど、一体何があったんだろう」

 …………
 ……

 ――魔法少女の魔力は、そのもののもつ愛や憎しみの大きさに反比例する。
 メイもミミも、例外ではない。
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